ポワロも已められない日記

めし、風呂、アガサ・クリスティを読む、大学も行ってる、さしみの日乗。

「リビング・デイライツ」、その他にはなにもない

仕事は、新年度を前にサクサクッと手仕舞い・・・というわけにもいかぬようで、残タスクが積み上がっている。残ったままに24年度へと雪崩込むのだろうか。

帰宅して、録り溜めていた「007」シリーズ第15作「リビング・デイライツ」( The Living Daylights)を観はじめる。4代目007役として、ティモシー・ダルトンが初登場し、シリーズとしても25周年記念作品ということである。
007/リビング・デイライツ - Wikipedia

www.bs4.jp

【作品概要】
Mの命令で、KGBのコスコフ将軍の亡命を助けたボンド。しかし英国に渡った将軍は、何者かに拉致されてしまう。謎が謎を呼ぶ事件の陰には、コスコフと結託した武器商人ウィティカーの存在が。(BS日テレサイトより)

1987年制作というから、自分の年齢からすれば映画館で観ていてもおかしくはないが、まったく記憶にない。「ダークでクール」とサイトにはダルトン評があるが、〈ダーク〉というのはどういうことなんだろう。〈非情〉ということなのか。顔はソース顔だけども。80年代らしい。
前作のロジャー・ムーアのシリーズのユーモラスさは作風としてはあまりないかも。でも、こちらのほうが〈らしさ〉はある。
それにしても、相変わらずオープニングテーマはチープな感じ。これぞ「007」といったところで、寝る。

文鳥#3

わが家の文鳥の死については、これで最後としよう。

文鳥は、けっきょく、明日(3月21日)の午後に葬儀屋に引き取ってもらってそのまま海に散骨してもらうことにした。値段のことは書くまい。
娘には「最後の挨拶は?」と訊くと、その死骸を見たくないということなので無理強いはしない。

だが、自分が文鳥に死ぬ前までに充分に尽くしてやったのかということは自問するといい。しても明確な答えが出るわけでもないが。
生き物を飼うということは、いつかその死と対面することだからだ。あるいは自分が先におのれの死に対面するかのどちらか。

本日は、地元イベントのお手伝いでほぼ終日、娘と出かけていた。写真をたくさん撮って、大いに笑い、身体を動かした一日。テキストはなにも開かなかったな。
働いた後の一杯がうれしい。

「イタリア貴族殺害事件」(TV)、文鳥#2

文鳥は朝方に死んでいた。カゴの中でうつ伏せになって。

いったいいつからわが家に来ていたんだろう。娘がはじめてディズニーランドに出かけた年だ。牧村さんと娘とでディズニーランドに遊びにいった帰り道、娘から電話があり、文鳥が欲しいのだという。
なぜ文鳥なのかはいまだに不明だが、それからしばらくして娘は渋谷で文鳥を購入してきた。

文鳥はずいぶんと気性の荒い子で(オスである)、調べると文鳥というのはそういうものらしい。見た目とは違う。怒りっぽいくせに(あるいはそれ故にか)、人なつっこく怖がりもしない。平気で人の肩や腕に乗って遊んでいる。手乗り文鳥とはよく言ったもんだ。
たぶん自分は鳥だとは思っていなかったんだろう。

世話のほとんどはわたしがやっていた。娘はあっという間に文鳥に飽きて、最後のあたりは見向きもしなかった。
万事そういう〈塩対応〉だったくせに、いざ鳥が調子が悪くなったら夜遅くまで付き添うのである。わたしは、彼女のそういう態度はいっさい認めない質(たち)の人間なのだが、彼女の好きにさせておいた。偽善とまでは言わないが、わたしのこころの内はそうである。
案の定、娘は鳥が死んでショックだったらしく、今日は学校を休んだ。わたしはそういう態度も認めない。単なる言い訳にすぎないと思っている。だから彼女に嫌われるのだろう。

春分の日の前。いくつかの案件が手仕舞を迎えてホッとしている。息子の学校では卒業式だったらしく、在校生はお休み。息子の友だちがわが家にどっと押し寄せている。
わたしは自分の部屋で、お休みの日前にいつくかの懸案を片づける。凡ミスふたつ。

夜は早めに夕飯を食べる。
さて、ポワロ。
「イタリア貴族殺害事件」(The Adventure of the Italian Nobleman)のTV化。

ポワロはミス・レモンの恋人のグレイブスをお茶に招待する。彼はある貴族に雇われているが、その貴族が恐喝事件に巻きこまれていることをポワロたちに打ち明ける。その後、ポワロとヘイスティングスが知人の医師の家で食事中に、ロンドンに住むイタリアの貴族フォスカティーニ伯爵から助けを求める電話がかかってくる。ポワロたちがかけつけると伯爵は頭を殴られ死んでいた。(NHK番組サイトより)

www.nhk.jp

ミス・レモンの恋人だという人物があらわれて、ポワロたち同様にわたしも衝撃。
ああ、わたしたちのミス・レモン!
しかし、そこはそれ、きちんとオチはある。そしてヘイスティングズのクルマ好きが遺憾なく発揮された回だった。あのイタリア車、どうなっちゃうんだろう。

『スタイルズ荘の怪事件』#3(pp.34-70)、文鳥#1

しごおわ。

どうにもうまく歯車が噛み合っていない、ということがここのところ続いていて、例えば今日は会社のサークル活動のためにわざわざ強風の中をリアル出社したのに、肝腎の参加者がごくわずか、ということだった。
それ自体はまあ仕方ないことと割り切ったが、インストラクタは丁寧に説明してくれたし、参加者はそれなりに質問もしてくれた。わたしもチャチャを入れたが。予定時間を超過してこちらの〈意気込み〉はある程度示せたかなというところなのだが、やはりインストラクタには悪いことをしたなと自分を責める。
そして、多くの人たちの予定が合わなかったことは詮方ないと理解しても、このサークルとの相性がイマイチなんだなと感じる。もともとわたしは頼まれて参加したクチなのではあるが(これまた言い訳がましくていやだ)。

はらへ。
帰りがだいぶ遅くなったので、ラーメンでもと思ったが、娘から文鳥のコロンが調子が良くないという一報があり、何も口にしないでいったん帰宅した。
文鳥はだいぶ元気がなくなっている。娘や牧村さんはちょっとずつエサを与えているが、まったく本調子ではない様子だ。
急にどうしたのか。
小一時間ほど手のひらの中で温めてやったら、少し元気はでてきたようでカゴに戻す。明日はどうなるんだろう。

『スタイルズ荘の怪事件』#2(pp. 27-33)、ドラマロス

TVドラマなんぞ、とんと観ない(正確には、観る習慣がない)わが家だが、今年(2024年)の「冬ドラマ」には、みなさん興味があるようで、
連れ合いの牧村さんは、TBS「不適切にもほどがある」、
www.tbs.co.jp
息子のみかん星人は、日テレ「新空港占拠」、
www.ntv.co.jp
かく言うわたしは、TVアニメ「葬送のフリーレン」、
frieren-anime.jp
娘のいちご1号は、強いて言うほどの番組はないらしい。

そのうち、「新空港占拠」が昨日(3月16日)に終わってしまった。小5男子を3ヶ月間釘付けにしたドラマ。
わたしは前編となる「大病院占拠」をたまたま観ていて、その流れで息子にも「どう?」ってな感じで薦めたらどハマりした。息子は冗舌に〈考察〉していったけど、わたしには「あー、櫻井くんの手の震えが治ってよかったなー」とか「あー、櫻井くん、全力走がもっさりしているなー」(でも、きっとぼくらは櫻井くんのファンなんだよ)とか「じつは志摩がいちばん働いているのでは(あいつ酸欠で死にかけた直後にPC持たされて仕事させられたよな)」とか、ひとりツッコミを入れながらも、息子とは「嘘だろ」という台詞で最後は締めることができて満足のドラマであった。
しかも最後にあの男が再登場してきて、俄然盛り上がっている。次回は瀧内公美さんを管理官にしてくんねーかなー。また期待します、武蔵刑事。

夕方、田舎の実家近くに住んでいる妹から電話。ずいぶんと長い電話だった。要するに親戚同士の諍(いさか)いなのだが、半ばボケた老夫婦とのやりとりは怒り以上に悲哀でしかない。

そのとき初めて、わしはエヴリン・ハワードとともになにか名状しがたいものがここから消えてしまったことに気づいた。彼女の存在が防波堤になっていたのだ。それがなくなったいま、そこらじゅうに疑惑が渦巻いているように思えた。バウアスタイン博士のいかにも陰険そうな顔がよみがえってきた。だれもが、そして、なにもかもが、なんとなく疑わしく思えてならなかった。一瞬、なにか不吉なことが起こりそうだという予感がした。(p.33)

『スタイルズ荘の怪事件』#1(~p.26)、「ゴジラ」最新作

※ネタバレあるかも。

アガサ・クリスティ『スタイルズ荘の怪事件』(ハヤカワ文庫)。
止まらない咳を無理矢理抑えつつ、ベッドでページを開く。

きわめて印象的な人物で、背丈は低く、卵型の頭をしていて、細心に手入れした口ひげをたくわえ、それを極度に自慢しています。ポアロのイメージは、アガサ・クリスティー第一次大戦中にイギリスに逃れてきたベルギーからの亡命者の一団を見た時に形づくられたものと思われます。(『スタイルズ荘の怪事件』所収、マシュー・プリチャード*1寄稿文、pp. 4-5)

本作冒頭には、彼女の孫からの賛辞ないしは作者作品紹介の序文が寄せられている。タイトルに補足するなら「日本の読者へ」といったところだろう。押しつけがましさがない文章だ。

さて、物語ははじまる。

ひところ世間を騒がせた”スタイルズ荘事件”に対する関心は、最近ではいくぶん下火になった。それでも、これほどのスキャンダルを引き起こしたからには、資源の全貌を記録しておくべきだということになって、友人のポアロならびに遺族の方々から、わたしに依頼があった。事実を記すことで、いまだにささやかれている興味本位の噂も消えるはずだと思ったのだ。(「第一章 スタイルズ荘へ」p.11)

これは、ポワロの友人であり〈助手役〉ともなるヘイスティングズが語っている。ここからしてデビュー作は「シャーロック・ホームズ」の枠組みを用いているのが、ミステリの素人であるわたしにも解る。
ヘイスティングズは軍人(陸軍大尉)で、傷痍の身となり前線から本国に送還されている。しばらく療養したところでこの事件に関わることになるのだ。
そして、事件の〈記録〉をとりはじめる。

昼前に、品川へと「ゴジラ -1.0」を家族で観に行く。アカデミー賞(視覚効果賞)受賞で、お祝い記念上映をしているのだ。ほんとうはお隣の「君たちはどう生きるか」を観たかったのだが、なぜか家族全員に反対された。でも、観に行こうと思っているけどね。

ゴジラ、なるほど、物語も視覚効果もとても〈シームレス〉な感じがした。(フックという意味ではなく)引っかかりがなく、わたしの中で物語が進行し映像が流れていった。鮮やかだ。「ゴジラ」第一作へとつながるようなストーリィ構成であるが、さて続編(ないしは次回作)をどうするのかが心配なところだが、そういう悩みは贅沢というべきなんだろう。楽しかったです。

www.asahi.com

*1:アガサ・クリスティの娘ロザリンドの息子でクリスティー財団の理事長、と文庫には紹介されている。

ポワロと私

今週火曜日(3月12日)の夕方に、突然高熱を発して、ミーティングの後にベッドに倒れ込んだ。40℃近くあったと思う。夜中には身体が寒くて震えることを久しぶりに覚えた。
すわインフルかと、すわコロナかと(わたしはワクチン接種後にコロナに2回罹ったがいつも40℃の熱が出る)思ったが、翌日(3月13日)の検査では両方ともに陰性だった。頓服薬を飲んだら、明け方には一気に平熱に戻っていた。そのことでインフルではないなとは直感していたけど。
診断の結果は単なる風邪。にしても、風邪で40℃も熱が出るもんかなあ。
その後も頭痛と咳はしばらく続いて、ようやく今日(3月15日)なんとか治まりはじめている。

そんなわけで、今年(2024年)2月からこっち、例年に違わず良くない時間が流れている。

振り返れば、建国記念日の振替休日(2/12)に息子がインフルエンザB型に罹り、そのタイミングでわたしも風邪を引いた(またしても風邪だ)。
熱こそ出なかったものの、頭痛が酷く、咳もよく出た。当然というか咽頭も痛かった。息子の受診に付き添ったタイミングで念のため検査してもらおうかと思ったら、「(お父さんは)熱が出ていないので意味がない」と言われてしまい、風邪薬を処方してもらって終わった。
息子のインフルはイナなんとかという吸引薬で、翌日にはあっという間に熱は下がったものの、それから一週間ほどは彼は咳と下痢に悩まされた。

わたしはというと、相変わらずの症状が息子同様に一週間くらい続いて、さすがに頭痛と喉の痛みは退いたものの、咳は治まる気配はいまだにない。
2月というのは、わたしにとってそういう月だった。思えば一昨年は土地売買の契約に失敗して(半ば騙されて)200万ほど持って行かれたし、昨年も今年同様に長い間風邪に悩まされた(ついでに新居の引き渡しもあった)。
2月というのは、そういう月なのだ、わたしにとって。
そして3月という月もそうなのだろう。そもそもわたしは花粉症持ちで、なのに誕生月である。

そういった体調が良くない時には、いやじつは良い時でも、わたしはポワロのTVドラマを観る。
海外ドラマ「名探偵ポワロ」だ。
www.nhk.jp

普段なら(体調や気分の良い時なら)、例えばTVニュースやスポーツ番組を観ることは苦にもならないが、そうでない時には、それらであっても鬱陶しく感じられる。〈なぞり〉と呼ばれる日本語字幕がウザいし、過剰な演出や、反対に奇妙に抑制されたトーンも気になって仕方ない。観ていて嫌気が差してやがて疲れてしまう。

しかし、そんな時でも、ポワロのTVドラマをわたしは観ることができる。
いや、観ようとする。

わたしにそうさせようとするのが、この海外ドラマ「名探偵ポワロ」なのだ。
1990年より NHK 総合と BSで長い間(不定期に)放送されてきた。最後の作品である「カーテン ~ポワロ最後の事件~」が放映されたのは2014年10月である。その間放映されたのは70作品、ポワロが登場する小説のほぼすべてがこのドラマシリーズで映像化されているという。
名探偵ポワロ」は昨年(2023年)にNHK BSで再放送していた。あの「名探偵シャーロック・ホームズ」の再放送と時期が重なっている(こちらも大方録画済だ。残念なことにこれまであったBSの2チャンネルが1チャンネルに統合された現在、番組枠数からいってもうこの2作品が同時に再放送されることはないだろう)。

わたしがせっせとHDDに録り溜めたポワロはこの日記がはじまる前から少しずつ消化していって、いま録画として残っているのはちょうど1990年内に放映されたタイトル「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affair at Styles)」から以降が歯抜けで残っている。
というのも、わたしは観終わったらHDDから消去してしまっているからだ。番組は別に順番に観ているわけでもない。タイトルをチラ見して、なんとなくその時時の雰囲気で番組を選んでいる。

「スタイルズ荘」が残っていたのは偶然だ。
原作を読んでから、番組を観てみよう。